タウシュベツ川橋梁ひとり旅レポ
つぶグミはいいぞ。です。
タウシュベツ川橋梁、行ってきました!!!!
なんやそれという人にざっくり説明しますと、、、
タウシュベツ川橋梁は、北海道の十勝・上士幌町にある、1937年に竣工した国鉄士幌線旧線の橋梁です。
タウシュベツ川という川を越えることから名付けられたこの橋ですが、1955年の糠平ダム建設に伴ってこの橋の周辺は湖底に沈むことになり、士幌線のルート変更が行われたため、実際に列車が走ったのは1939年の士幌線営業開始からの16年程度。しかし、この橋は解体されることなく今に残り、水や風に曝されて朽ち果てたコンクリートのアーチ橋が上士幌町の代表的な観光資源となって今に至っています。
要は廃線跡に残る鉄道遺跡って感じですね。水位が上がる季節には湖面にアーチ橋が映り、「めがね橋」とも呼ばれたりします。逆に今回のように水位が下がっていると、湖底を歩いて橋の周囲を一周することもでき、一年を通して様々な顔を見せる橋になっています。
自分自身、元々北海道の廃線には興味があって行きたいと思っていたのですが、この3連休でついにそれが叶ったという形です。
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今回の旅程ですが、往復共に「ポテトライナー」を利用しました。片道3,770円・約3時間半の運行で1〜2時間に一本の頻度で出ており、通年利用できる手段としては最も効率の良い手段でしょう(18きっぷでも新夕張〜新得の特例措置使えば行けるけどね)。ただ、予約が必要なので適当に出発時刻に行けば乗れると思ってる都会脳の人は注意。
札幌駅前・ESTAと直結のバスターミナル16番乗り場から出てます。興味のある人は是非。
7/14 13:00 札幌駅出発。
追分を越えたくらいから石勝線と並走になり、紅葉山や占冠、トマムの市街地(1時間以上無人地帯を走っているとこのサイズでも大都会に見えるものですよ)を見下ろしながらバスは走っていきました。狩勝峠を越えると濃霧に突入。怖いからガタガタ言わせながら飛ばすな。
7/14 16:08 無事帯広駅に到着。
7月中旬の昼間だというのに気温18℃。まだまだジャケットが必須な肌寒さです。十勝を舞台にしたNHK朝ドラマ『なつぞら』が尋常でないほど推され(なんならバス内パンフレットからなつぞら一色だった)、駅舎ではその主題歌が無限ループで流れていました。音量こそ控えめだったので配慮はされてましたが、洗脳する気か。
元々40分程度の乗換時間しか無かったので、そそくさとバスターミナルへ。駅舎にあったこの看板、ありがたいけどそこまでするなら動線そのものを組み直してくれとか思ったりしました。
バスターミナル「おびくる」ではAIが観光案内してくれるということで、受付嬢にはこんな可愛い女の子が。
ググってみると、1年前に導入されたようですが当時の受付担当、何だろうこのPS2くらいのポリゴンモデル感。1年でよくここまで尊く進化したものです。とはいえもう旅程は決まっていたし、大声でAIに話しかける勇気はありませんでした。
ちなみにこのおびくるで「帯広⇆ぬかびら源泉郷往復券+入湯券+1,000円分の施設利用券」がセットで3,000円で買えます。本来はバスの往復運賃だけで2,620円するので非常にお得です。7日間有効で途中下車もできるのはサービス精神旺盛だと思いますが、バスは1日4本。降りるところ、ある?
7/14 17:00 帯広駅前 → 18:45 ぬかびら温泉公園前。
ともあれ帯広からバスに乗ること1時間45分、今回の旅の拠点となるぬかびら温泉郷へ。帯広から一緒に乗ってた乗客は上士幌の市街地あたりまでに全員降りてしばらく貸切状態でした。
観光客の99%が自家用車利用なようで、到着してみると想像以上に人がいて賑わってました。みんなよく来るなあとか思いながら北海道の車社会ぶりに感心。
ホテルはこちら。ところどころ錆びてる見た目とは裏腹に、内装はとても綺麗な観光ホテルといったところ。個人旅行で使うのはビジネスホテルばかりだったので、慣れないなと思いつつも商品券でおつまみを購入。露天風呂は硫黄泉の源泉かけ流しで、銭湯と違って黒い湯の花が浮かぶいかにも「本当に湧いてる温泉ですよ」感(さすがに写真は撮ってません)。
正月に投稿した城ヶ島ライドの記事で「太鼓の達人13」を見つけて興奮していたつぶグミさんですが、大幅に記録を更新する現役の「太鼓の達人5」が!!!調べてみると15年前の筐体で、ボス曲は「風雲!バチお先生」とな。ちなみに現在は☆7。
糠平の市街地を歩く。廃墟!!廃墟だ!!!
特に店の看板が読める状態で朽ちてると栄枯盛衰感がどっと伝わってきてただの廃墟よりも更に哀愁を誘いますね。来てよかったぞ糠平市街。
少し坂を下ると見えてくるのが上士幌町鉄道資料館、もとい士幌線糠平駅跡。今も観光トロッコが走っているのでレールは健在(この綺麗さは多分引き直してるけど)。にしてもこのアングルでレールが撮れるのは廃線ならではですね。十勝三股⇆帯広のサボがかけられたおそらく当時走ってた車体。中は施錠されてました。
昼間に行けば資料館の中に入って士幌線のあれこれを見ることができたみたいです。口コミによれば廃線系資料館最高峰とまで。見てみたかったぞ。
7/15 5:20 糠平温泉文化ホールに集合。
てなわけで翌朝になりました。いよいよこの度のメインイベントであるタウシュベツ川橋梁へ行ってきます。「早朝ツアー」ということで、なんと集合時間は午前5時20分。とはいえ20人以上の参加者が集まっていました。長靴はレンタルされるのですが、持参してくるガチ勢もチラホラ。カメラや三脚も持っていて、どうやら秘境撮影マニアのようです。いかにも学生って感じの人は自分のみで、見渡しても鉄オタな動機で来てるような人は他にいませんでした。
7/15 5:30 ぬかびら源泉郷出発。
ガイドさんの車に乗り、山奥へ向かっていきます。ゲートを解錠してその奥に入っていく感じ、隠しステージに向かうようでワクワクしますよね。ガイドさんからはタウシュベツ川橋梁や士幌線にまつわる話をしていただきました。建材として良質なトドマツやエゾマツを運ぶための鉄道として主に用いられた士幌線。林業が最盛期を迎えた昭和初期には数千人の人口を抱えた糠平以北の幌加・三股地区も、現在は2地区合わせて人口5人。悲しいものです。
未舗装道路をひた進むと、道のど真ん中にヒグマの糞が。「昨日夕方に来た時はこんなところに無かったから、夜していったやつだろうなあ」とガイドさん。さらに進むと「あの辺りの蕗だけ茎のところから折れてミステリーサークルができてるでしょ。あれヒグマが食べた跡です」と。今までで一番ヒグマの存在を身近に感じた瞬間でした。イキって個人で来なくて良かった。
7/15 6:00 タウシュベツ川橋梁到着。
糠平から車で25分、15km。ついに車を止めて旧線跡である獣道を歩いていくと……ついに!待ちわびたタウシュベツ川橋梁を発見!!めがね橋よりも、下に降りて撮りたいと思ってたつぶグミさん大歓喜。
7/15 〜6:50 タウシュベツ川橋梁周辺を自由行動。
自由時間が約45分。色々な角度から撮影を試みました。近くで見ると露出した鉄筋の劣化具合が、遠くで見ると人工物ながら自然と調和した様子がよくわかり、正面から、斜めから、下からと様々な顔を見せてくれます。とはいえ、橋はもう外力が無くても自然崩落が時折起こるほどには朽ち果てており、事故防止のため橋脚の真下まで接近することはできませんでした。橋の周りの切り株は、林業が盛んだった当時の糠平の街で、湖底に沈むからと伐採された木がそのまま残っているものとのこと。定期的に水に浸かることでキノコや微生物、昆虫に養分を吸い取られることなくこの姿を保っていられるとのこと。
帰り道では、ガイドさんから「ダム会社の人にとってこの橋は切り株と同じ。あってもなくても変わらない」「それでも残ったことは我々にとって偶然であり、幸運」「補修するつもりはない。みんなであの橋が自然に還っていくのを見届けるだけ」という話を聞かせてもらい、地元の人のタウシュベツ川橋梁に対する意識の持ち方を考えさせられました。
ちなみに今ほどに橋が朽ち果てていなかった20〜30年前では、まだ観光地化はしておらず、地元の人がこの橋の上で釣りをすることもあったとか。
7/15 7:30 糠平へ帰着。
7/15 10:13 ぬかびらスキー場前 → 12:00 帯広駅前。
あえて少し歩いて始発バス停である「ぬかびらスキー場前」まで来ました。これで全線乗破!帰りのバスはあまりにも疲れたので帯広までずっとうとうとしていましたが、上士幌を越えるとそれなりに人が乗ってきて、生活路線として機能してるんだなあと一安心したり。
7/15 12:42 帯広駅出発。
ここで初めてJRの登場です!昔ながらのキハ40、アナログなサボ。みんな相席が気まずいので4席クロスシートに1人ずつしか座らず立つ人が多数の車内。自分も立ってました。立つことで後面展望が見られたので良しとしましょう。単線区間なので時折待ち合わせや閉塞の手続きのために駅に長く停車。関東で例えるなら取手から先の常磐線普通並みによく止まります。
7/15 13:15 池田駅到着。
ワインの街!駅舎も心なしかワインレッドでお洒落な雰囲気。駅の横にはコルク抜きをイメージした謎のオブジェが。跨線橋から見えるどこまでもまっすぐな線路。ここから少し歩いて目的地へ向かいます。
7/15 13:30 DCTgarden。
ドリカムファンにとっては聖地のようです。何でも池田町が故郷なんだとか。中は撮影禁止でしたが、ライブで使われた衣装がそのまま展示されていて、これはファンには堪らないだろうなと思いましたね。ちなみに2枚目の画像はドリカムの楽曲「あなたとトゥラッタッタ♪(裏譜面)」。平成最後の追加楽曲でなんと☆10。48分音符(厳密には32分音符の3連符ですね)を1小節分叩かせるというこの譜面は太鼓界に戦慄を与えました。
7/15 13:36 池田ワイン城。
先ほどのドリカム聖地から坂を登ったところにあるのがこの池田ワイン城。サッポロビール園を楽しめたのでここも良いかなと思い急遽予定に組み入れてみました。地下貯蔵庫が見学できるのですが、めちゃくちゃワインの匂いがしてきてテンションが上がってきました。お土産屋にはここのワインブランドである「トカップ」の無料試飲ができるコーナーがあり、一杯頂いてきました。それとは別に「シルフィー」というシェリー酒をお土産に購入し、退散。最後の一枚ですが秋にはブドウ畑になるようです。
楽しかったんですがそこまで長居できるアトラクションが無かったのは残念。来年リニューアルオープンするようなので期待してます。周辺ではアレンジされたドリカムの楽曲が無限ループ。道東の民は無限ループがお好き。
7/15 16:32 池田駅 → 17:10 帯広駅。
一両だ!!!ローカル線に揺られながら帯広へ帰還。ちなみに池田駅でも『なつぞら』の主題歌が無限ループしてました。だから洗脳する気か。
7/15 17:30 六花亭帯広本店。
マルセイバターサンドでおなじみの六花亭の本店があるのがこの帯広の街。その場で食べられる「サクサクパイ」が大人気とのことで食べに行ってきました。できたてで甘くてサクサクの食感がたまらない(語彙力)。ちなみにコーヒーはイートインの人にはサービス。普通のコーヒーです。
7/15 19:15 帯広駅前 → 22:40 札幌駅前。
やることが無くなったので適当に本屋で時間を潰しつつ、買った本を読みながらバスに乗って帰ってきました。
人間関係の自我心理学 人と接するのがつらい (文春新書 (074))
- 作者: 根本橘夫
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自分の心の弱いと思っている部分が丹念に分析されていて、生き方を見つめ直すきっかけになりました。即読破。「自分の人生」を歩めていない人は全員読んでください。良書。
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というわけで、記憶が新鮮なうちにと帰りの地下鉄から投稿しております。初めて大雪山系の向こう側に足を踏み入れたわけですが、とても楽しい旅行になったかなと思います。次はもっと足を伸ばして、網走・釧路・根室・稚内・函館とか行けたらいいなと思いますね。
期末レポート1本分の記事を期末レポートラッシュのこの時期に書き上げてしまいました。
またまた面白いことがあれば書いていければと思います!ここまで読んでいただきありがとうございました!
つぶグミはいいぞ。( @kirsch2293 )